聖心女子大学 英語文化コミュニケーション学科

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新学科名称によせて:英語文化とはなにか

「英語英文学科」は、2019年度4月より「英語文化コミュニケーション学科」(通称:英文科)と改称しました。新しい学科名称に使われている「英語文化」とは何なのだろう、と疑問に思う人がいるかもしれません。

「文化(culture)」の意味をたどる

英語のcultureはもともとcultivateすること、すなわち「土地を耕し、そこで植物などをはぐくみ育てること」という意味でした。それが転じて18世紀半ばには「人間個人の内面や行動を教育や訓練で高めていくこと」を意味するようになり、さらに19世紀半ばには今日もっとも一般的に使われている「文化」、すなわち「特定の社会・時代等で集団的に培(つちか)われる特有の考え方、行動、習慣、ライフスタイル等」を意味するようになりました。

こうしてみると、英語を通して英米その他の英語圏の文化を学びましょう、という昔ながらの考え方は、19世紀半ばに始まった(つまり一番歴史の浅い)cultureの意味に基づいていることが分かります。もちろんそのような外国文化研究も英文科の研究対象とする「英語文化」に含めてよいでしょう。

英語により広がる世界

しかし、新しい英文科がいう「英語文化」にはcultureがより古い時代に持っていた、個々人のかけがえのない身体や精神と結びついた意味、すなわち「一人一人が自分の畑に英語という種をまき(学び)、苦労しながら注意深くはぐくみ育て(訓練し)、それによって自分の内面や行動を高めていく」という意味もしっかり見据えてほしいと思います。

なぜいまそういう新しく、かつ「ルーツ」にさかのぼった cultureの意味が重要なのでしょうか。グローバル化しネットワークでつながる世界において、かつては単純化されて固定的にとらえられていた英米その他の英語圏の文化というもの自体が、実際はいかに多様で流動的なものなのかを身近な経験として実感できるようになりました。さらに、「英語圏」でない地域でも多様で流動的な世界に生きる人同士をつなぐ言葉として、英語がいかに便利なコミュニケーションツールであるかが、私たちの身近な異文化コミュニケーション経験として実感できるようになったからです。

英文科が目指す「英語文化」とは

つまり「英語文化」とは、英語圏という限られた地域に生まれ育った人々の作ってきた「英語圏の文化」だけを指すものではなく、皆さんも含め「英語圏」でない地域で生きる人たちもその作り手・担い手として、多様で流動的な世界とのかかわりの中で日々自分自身の英語を磨くことを通してはぐくみ育てていくものなのです。

英文科で学ぶ一人ひとりが、「英語文化」の作り手・担い手としての誇りと自信をもって、晴れの日も雨の日も、積極的に英語文化を開拓していってもらえたらと思います。