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作家キム・チュイ氏によるストーリーテリング ~生きること、物語をつむぐこと~
The Storytelling Talk by Ms. Kim Thúy
2019年6月27日(木)、カナダ在住の作家キム・チュイ氏によるストーリーテリングの講演会が、英語文化コミュニケーション学科・大学院英語英文学専攻共催にておこなわれました。
キム・チュイ氏はベトナム戦争後にボートピープルとして故国を脱出され、難民としての自らの経験をもとに、小説Ru(邦訳『小川』)をはじめ作品をフランス語で発表されています。本講演会のお話の中で印象的だったのは “Each refugee would have a different story because of the different path” という表現です。一人一人に物語があること、「ボートピープル」「難民」という総称では一人一人の道のりを理解することはできないことを、55名の参加者に英語で丁寧に語りかけてくださいました。現実を見つめる力を養うためにも本を読むことが大切、というメッセージもいただきました。
参加した学生の感想をどうぞご覧ください。
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キム・チュイさんのストーリーテリングを伺うことができ大変勉強になりました。10歳という幼い年齢でボートピープルとして祖国ベトナムを脱出され、カナダに到着するまでの過程を当時の状況が目に浮かぶようなとても具体的な描写で説明してくださいました。困難な経験をされたにも関わらずとても前向きなキム・チュイさんの姿勢に感銘を受けました。周りで亡くなった方や一つ後のボートに乗っていて助からなかった方のためにも少しの時間も無駄にできないという言葉がすごく印象に残っています。今回の貴重な経験を今後の人生に役立てたいです。このような素晴らしい講演を聞く機会に恵まれたことに感謝するとともに、またいろいろなお話を伺うことができればと思いました。 (英文科3年生)
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今回の講演会で、キム・チュイさんは、ご自身が経験された難民生活のリアルを熱心に伝えてくださいました。ある日突然、自分の家が政府に押収され、自由に暮らせなくなってしまったこと。難民として船で祖国から逃れる途中、多くの人がダイヤモンドや宝石類を飲み込んだり歯に埋めたりして、海賊の略奪から守ろうとしたこと。その他にも日本という恵まれた環境で生活している私には、到底想像もできないような過酷な経験談ばかりで、“生きるとは何か” を考えさせられました。そのような過酷な経験をしたはずなのに、キム・チュイさんは軽快な話し方や豊かな表現で私たちを引き込みながら、私たちに大切なことを教えてくださいました。「難民として逃げている途中、私よりも可能性に溢れていたであろう人々が亡くなった。でも自分は生き残った。生きているのではなく、生かされているのだ。これは私の責任なのだ、と思って生きているから、全てのことに対してモチベーションを保てる、なんでも頑張れる。」エネルギッシュでパワフルなキム・チュイさんですが、それは、私たちが想像も出来ないほどの過酷で悲しい経験を乗り越えてきたからこその強さなのだとわかりました。そして、それを糧に頑張り続ける生き方に尊敬の念を抱きました。今回のお話から学んだことを、これからの人生に活かしていきます。 (英文科3年生)
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